『食品の裏側』安部司 感想・レビュー
おすすめ度 ★★★★☆
私のように、人の影響を受けやすい人は要注意です。
読んだ後、というか読みながら、自分の家の冷蔵庫や食品戸棚の中を開いて調味料や加工食品のラベルをくまなくチェックしてアワアワし始めます。
著者は、実際に食品添加物を売っている商社の人だったようで、
食品添加物の使用実態とその効果についてリアルに描かれています。
調味料にも加工食品にも、原材料名のところによくわからない名前のものが並んでいて、何なんだろうと以前から気になっていたのですが、この本を読んでだいぶすっきりしました。
特に、「アミノ酸等」というものが、だしの素や塩昆布から菓子まで、幅広い加工食品に使われていますが、
実態はアミノ酸化合物と、その他「等」で省略されている諸々の添加物であって、それによってアミノ酸を摂取できるわけでもなんでもない、というところが印象的でした。
それなら「アミノ酸等」という書き方はちょっとおかしいのではないかと。
だまされている人は多いのでしょうね。
また、著者は、体に悪いからという理由で食品添加物について警鐘を鳴らしているわけではありません。
もっとも、何十種類もの添加物を長年とりつづけた場合どうなるかははっきりわかっていないそうですが。(本当でしょうか…)
本当に体に悪いかどうかはさておき、
添加物を添加する製造現場の人たちは、気持ち悪くて食べたくないということが多いそうです。
それだけ聞くと、そんな感情的な問題か、じゃあ当の食品添加物をつくっているメーカーの人はどう思っているの?自分たちの作っているものに誇りを持っているのではないの?と思ってしまいますが、
自然な味付けのものに慣れた舌からすると、食品添加物の味は不自然で、変な味に感じるようです。
食品添加物を食べ続けていると、味覚がマヒして、「アミノ酸等」などで人工的にうまみをつけた食べ物を「おいしい」と感じ、その味ばかりを求めてしまいますが、
味覚がまともであれば、そういう人工的な味付けのされた食べ物は、
変な味が口の中に残っておいしくない、と感じるとのこと。
味覚がマヒすると、ふつうの家庭料理、家族のつくった地味な料理が物足りなく感じたり、
良いもの、ほんものの味がおいしいと感じなくなるそうです。
(家庭でよく使うおしょうゆやみりんですら、人工的に味付けされたしょうゆ風調味料、みりん風調味料が出回っていますが…)
さらに、添加物の味に慣れてしまうことで、砂糖や塩分、油のとりすぎにつながりやすい、菓子やレトルト食品、ジャンクフードへの依存のリスクが高まるのではとも考えられます。
それはまずい、自分の子どもには、ちゃんと本物の味がわかる舌、添加物の味に違和感を覚える舌をもってほしい、と思ったので、
さっそく近くのスーパーでちょっと高い本物のしょうゆとみりんを買いました。
しょうゆに関しては、たくさんの添加物やなんとかエキスが加わった「牡蠣しょうゆ」しかなかったので。
本物のしょうゆを開封すると、まず香りが違う。
牡蠣しょうゆとはくらべものにならない、豊かで奥深い香りです。
ほうれん草のおひたしに使ったところ、夫からも好評でした。
ほんのちょっとでてきめんに効きます。
本物はほんとうにおいしいんだ、とわかりました。
香り豊かなので少量ですむのですが、
さらに値段が高いのでちょっとずつ使うので減塩になる、というメリットもあります。笑
ただ、添加物を台所からすべてシャットアウトするのは難しいとも感じました。
今冷蔵庫に入っているポン酢、ドレッシング、しらだし、めんつゆ、レモン汁、あと戸棚の顆粒コンソメや鶏ガラスープの素などには、添加物が入っています。
このうちいくつかは無添加のものを探すことができると思いますし、自分で手作りすることができるものもあります。
でもやはり便利さに負けていくつかは残してしまうと思います。
それでも、ふだんはなるべく使わないように、使うのは時々にしたいと思いました。
「アミノ酸等」などが入っている食べ物をやむを得ず食べる時は、
「これは人工的な味」と唱えながら食べるようになりました。
最近なんとなく自分の味覚が鋭くなってきたように思います。
自然な味、素材の味の食事をたのしむことは、心身の健康にもつながります。
興味のある方はぜひ読んでみてください。