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松村賢治『旧暦と暮らす』感想・レビュー 〜四季ってなんだろう〜

 

旧暦と暮らす―スローライフの知恵ごよみ

旧暦と暮らす―スローライフの知恵ごよみ

 

 

この本を読みました。

 

勢い余って書いた中間レビューはこちらです。

 

 

trekking.hatenablog.com

 

 

最後まで読んでわかったのですが、

中間レビューを書いたあたりまでで、

本筋の文章はほぼ読み終えていたようです。

 

 

ざっくり分けると、

前半が旧暦(太陰太陽暦天保暦)の概要について、

後半が実際に旧暦を実用している人達のインタビュー、

という流れになっています。

 

 

インタビューもこれまた面白くて、農林水産業に限らず、暮らしの様々なところで活用されていることがわかりました。

 

 

衣料品・ファッション業界では、半年以上先を見越して商品を仕入れないといけなくて、

その際「今年はいつから冬物が売れるか」という予測に旧暦が役立っているんですって!

 

なんてったって、旧暦は太陽だけの単純な現行暦と違って自然のバイオリズムとマッチしているから、

年による季節の早い遅いを高確率でそのまま反映してくれるのです。

 

 

うーん、衣料品店

私が行くところではだいたい7月中旬くらいには毎年秋物が出だしていて、

これからが一番暑いのに!ってなっている気がするのですが…

 

年によって変化をつけている所もあるのでしょうか。

 

 

 

そして、この本を読んで一番気になったのは、

昔の日本人の季節感です。

 

 

旧暦での1月、2月はだいたい今の暦の2月、3月、というように約1月遅れ?になっています。

 

もちろん、月の日数が違うので、旧暦の1月の始まりは新暦の1月下旬~2月中旬くらいの間で前後しますが、

だいたい新暦の1か月遅れと考えられます。

 

 

旧暦では1~3月が春、4~6月が夏、となるので、

新暦でいうとだいたい2~4月が春、5~7月が夏、8~10月が秋、11~翌1月が冬、という感じになります。

 

 

これ、現在の私達の感覚からすると、だいぶ違和感ありますよね。

 

人にもよるでしょうけど、多くの人が、子供の頃夏休みが8月末に終わると同時に夏が終わり、9月から秋になる、という季節感をもっているのではないでしょうか。

 

春は暖かく、夏は暑く、秋は涼しく、冬は寒い季節、という認識です。

 

ところが、旧暦では、新暦でいう8月はもう秋になってしまいます。

まだ暑いのに?と思ってしまいますね。

 

立春立夏などの言葉は誰もが知っていると思います。

2月には春になり、梅雨前の5月はもう夏です。

 

 

つまり、私達の季節感覚(春夏秋冬の感覚)と、昔の人のそれとでは大きな違いがあったように思われます。

 

 

私が思うに、

旧暦が中心だった頃、暑いか寒いか、という気温の差は、季節感の最大の指標ではなく、いくつかの指標の一つくらいだったのではないでしょうか。

 

 

もちろん、地球温暖化などこの百年に特有の気候の変化などもあり、

一概には言えません。

私が知るほんの20〜30年前だって、

8月の気温が35度以上だなんて、聞いたことありませんでした。

 

 

でも、その影響を除いても、我々との季節感の違いは明らかであるように思えます。

 

 

ざっくりですが、旧暦でいくと、

一年で最も冷たい空気の中、新しい年を迎え、梅が咲き、すがすがしく喜ばしい季節が春です。

冬至に比べるとだいぶ日が長くなっています。

 

桜が咲くのは「晩春」と言って良いような時期です。(地域差は大きいですが…)

 

桜が散れば、数週間で夏が訪れます。

新暦の5月には、半そでで過ごせるほど暑い日があり、

春というより夏だという実感はややわかるような気がします。

まぶしい新緑から、

梅雨を経て力強い緑の時期になります。

 

梅雨は、夏真っただ中です。

夏至である新暦6月22日か23日は、旧暦の5月に入るようになっています。

 

 

では、まだまだ暑い中、何に秋を感じるかというと、

空気の乾燥と湿潤(台風)の繰り返しなのではないかと思います。

台風が通り過ぎるたび、朝晩から少しづつ涼しくなっていきます。

 

実際、8月に入ってから、部屋の湿度計が40%程度になりました。

7月の間は、梅雨があけてからもしばらくは60~70%と高い日が続いていたのに。

この、8月の朝、起きてなんとなく喉がいがいがする、せきが出る感じが、

秋の季節感なのではないでしょうか。

 

秋は体が乾燥するから白いものを食べるとよい、という昔からの知恵もあると聞きます。

 

そして、紅葉を迎え、葉が散り、冬型訪れます。

この頃にはかなり夜の時間が長くなっています。

(紅葉の時期は、以前はもう少し早かったのではないかと思われます。)

食べ物でいうと、柑橘類などの旬でしょうか。

空気もさらに乾燥しているでしょうか。

 

 

この記事を8月に書いている都合もあり、

冬の季節感があまりリアルに想像できていないですね。残念…

 

 

ただ、

これはこれで有りというか、

四季の区切り方として納得できるように思います。

俳句の季語なども、基本的に旧暦の季節感なのでしょうし。

 

あと、行事もそうです。

わかりやすいのが七夕で、

新暦だと梅雨真っ只中で星どころじゃありませんが、

旧暦だと梅雨明け後の晴れた秋の空で、

星を見るのに最適です。

 

この本を読むと、

昔からの行事は旧暦でやった方が良さそうだ、

ということがよくわかります。

 

 

 

実際の自分の生活の中で、旧暦で動ける範囲は限られてはいますが、

旬のものを食べるということを考えても、

七草がゆくらいは旧暦で行ってみようかな、

という気持ちになりました。